ワインコラム

土地の個性で味が決まる!ワインの「テロワール」とは?

ワインを表現するときに使われる言葉「テロワール」。ワイン好きの方は「このワインはテロワールを感じる」「テロワールの味わいがする」など、耳にしたことがあるのはないでしょうか?今回はワインを語るうえで欠かせない「テロワール」について詳しく解説します。

ワインの味を左右するテロワールって一体なに?

ブドウ畑
・そもそもテロワール(terroir)って何語?
「テロワール」はフランス語で、「土地」という意味のterre(フランス語)と、「領地」という意味のterreitorium(ラテン語)が語源と言われています。

・「テロワール」の概念
「テロワール」という言葉は、一般的にはワインの原料であるブドウ畑の「土地の個性」のことを指します。ブドウ畑の土地の個性は、ワインの味わいや品質に大きく影響するため、ヨーロッパでは「テロワール」は特に重要視されています。
土地の個性とは、以下のようにブドウ畑を取り巻くすべての自然環境のことを指しています。

・気候(日照時間・気温・降水量)
・土壌(地質・水はけ)
・地形(標高・斜面の向き)

特にフランスのブルゴーニュ地方の土壌は「パッチワーク」と表現されるくらい場所によって個性があり、隣の畑でも全く違う性質があります。
同じ品種を栽培しても、土壌が違えば全く違う味わいや品質のワインになることから、「テロワール」という言葉は、ワインを語る上で欠かすことのできないキーワードとして、世界中で使われています。
実はこの「テロワール」という言葉はフランス独特の概念で、日本にはぴったり合う言葉が無いため、訳さず「テロワール」という表現が使われるケースが多いようです。

美味しさの秘密は“地層”!?テロワールはワインの味をどう変えるのか

土壌とワイン
土壌によってワインの味わいや品質が変わるとお話しましたが、どんなメカニズムでその違いが生まれるのでしょうか?
実はその秘密は「ブドウの根」と「地層」にあります。ブドウの木は樹齢を重ねるとともに地中深くまで根を伸ばし、大地の栄養をより多く吸収できるようになります。そして、その根を伸ばした土壌の栄養分の違いがブドウとワインの味わいに変化を生むのです。

・石灰質の地層 → さわやかな酸味のあるエレガントな味わい
・片岩質の地層 → ミネラル豊かなすっきりした味わい
・泥灰岩質の地層 → 力強いパワフルな味わい
・火山岩質の地層 → スモーキーな香りで余韻の長い深みのある味わい

このように、地質によって様々な味わいの違いが生まれるので、「テロワールはワインの味わいを左右する」と言われます。しかし、近年では造り手もテロワールの1つとする考えもあり、醸造家のこだわりや設備など「土地の個性をどう生かすか」ということも、ワインの味わいの決め手になります。これらの条件が複雑に絡み合い、ワインの奥深い味わいを生んでいるのです。

ワインが10倍楽しめる!テロワールでワインを選ぼう

テロワールワイン
「テロワール」について少し詳しくなったところで、今度は実際にテロワールを意識してワインを選んでみましょう!土壌による味わいの違いを感じたいなら、同じ品種で違うテロワールを比べてみるのもおすすめです。ここでは特にテロワールの影響を受けやすいブドウ品種についてご紹介します。

・シャルドネ種
冷涼な地域で育ったシャルドネ種はレモンやハーブなどの柑橘系のアロマを持ち、すっきりとした酸味を伴うワインとなります。一方、温暖な地域ではトロピカル系のフルーツのような甘い香りに濃厚でしっかりとした味わいをもつワインとなります。

・ピノ・ノワール種
原産地であるフランスのブルゴーニュ地方では、畑によって違いがありますが全体的に繊細で上品なワインとなります。それに対し、オーストラリアやニュージーランドなどで造られるものは果実味あふれるフルーティーなワインとなります。

・リースリング種
リースリング種といえば、ドイツやフランスのアルザス地方が代表的な産地です。こちらは産地によって味わいが全く異なるので、テロワールの違いを特に感じやすい品種といえるでしょう。ドイツは甘口で透明感のある酸味が特長的で、一方のアルザス地方は果実味とミネラル感が豊富な辛口が主流です。

このように、テロワールの違いを感じながらワインを楽しむだけでも素敵ですが、ワインと同じ土地の農作物やチーズ、肉、海産物などと食べ合わせてみると、その土地への愛着が湧いたり、新たな魅力が発見できるかもしれません。

テロワールを意識することで、ワインと食事の新たなマリアージュを発見できたり、知識が増えたりと、きっと今まで以上にワインが楽しめるはず。あなたもワインを育んだ土地に想いを馳せ、テロワールを味わってみませんか?